ベル・エポック〜聖母マリアのロザリオ

深く澄んだ葡萄色のガラスビーズと、繊細な透かし細工のクルシフィクスが美しい、フランスのアンティーク・ロザリオです。

意匠や構造、同時代のフランス製ロザリオとの比較から、1900年代頃、ベル・エポックからアール・ヌーヴォー期に制作されたものと推定されます。19世紀末まで遡る可能性もありますが、当店では1900年代頃のフランス製としてご紹介いたします。

*製造年代: 1900年代頃
*製造国: フランス
*時代・様式: ベル・エポック/アール・ヌーヴォー期
*ビーズ: アメジストカラー・ファセットカットガラス
*ビーズ直径: 約8.9mm
*クルシフィクス: 約47.8 × 29.5mm
*センターピース: 約19.9 × 17.7mm
*素材: シルバーカーラー合金
*センター意匠: 聖母マリアのAMモノグラム透かし装飾
*深いアメジストカラーのファセットガラス

ロザリオを構成するのは、直径約8.9mmの存在感あるファセットカット・ガラスビーズ。

光の加減によって黒紫から葡萄色、鮮やかなアメジストカラーへと表情を変え、多面カットされたガラスが静かに光を反射します。

天然アメジストにも似た美しい色調ですが、素材は当時のロザリオにも多く用いられたアメジストカラーのガラスと考えられます。

キリスト教において紫は、祈り・悔い改め・節制・待望、そしてキリストの受難への黙想を象徴する重要な典礼色です。四旬節や待降節にも用いられる色であり、深い紫色は祈りのためのロザリオに非常によく似合います。

ただし、本品が四旬節専用として制作されたことを示すものではなく、当時の装飾美術としての美しさも兼ね備えた色彩と考えられます。

聖母マリアを表すモノグラム・センター

センターピースは一般的な聖母像のメダイではなく、文字と植物文様を組み合わせた、非常に装飾性の高い透かし細工です。

中央には聖母マリアを象徴する「A」と「M」を組み合わせたマリアン・モノグラム(Ave Maria/アヴェ・マリア)と考えられる意匠が配され、その周囲を優雅なスクロール文様が取り囲んでいます。

上部には百合やフルール・ド・リスを思わせる意匠も見られます。

百合はキリスト教美術において純潔・清らかさを象徴し、特に聖母マリアと深く結びついてきた花です。またフルール・ド・リスの三つの花弁は、三位一体を連想させる意匠として解釈されることもあります。

肖像としてマリアを描くのではなく、文字と植物文様によって聖母への信仰を表した、優美なセンターピースです。

華麗な透かし細工のクルシフィクス

ロザリオの終端を飾るクルシフィクスは、約47.8 × 29.5mm。

シンプルなラテン十字とは異なり、四方へ植物的な曲線が広がる非常に華やかな造形です。

十字架の四端にはフルール・ド・リスやスクロールを思わせる装飾、内部には四葉形の透かし、縦横の軸には連続する菱形の幾何学文様が施されています。

中央には小さな花が置かれ、その上に立体的に造形された十字架上のイエス・キリスト(コルプス)が別パーツとして取り付けられています。

裏側から見ると十字架そのものの繊細な装飾がよく分かり、中央の花を中心として左右対称に広がる透かし模様の美しさが際立ちます。

植物文様、スクロール、透かし細工、幾何学文様を組み合わせたデザインには、19世紀末のネオ・ゴシック的な宗教装飾の余韻と、20世紀初頭のアール・ヌーヴォーへと続く流麗な曲線美の双方が感じられます。

「聖母マリアからキリストへ」と続く祈り

ロザリオは聖母マリアへの祈りとして知られていますが、その祈りの中心にあるのはキリストの生涯と救済です。

アヴェ・マリアの祈りを繰り返しながら、受胎告知、キリストの誕生、公生活、受難と十字架、復活、そして聖母の栄光へと続く救済の神秘を、マリアとともに黙想します。

そのため本品の、

センターには聖母マリアを象徴するモノグラム、
終端には十字架上のキリスト

という構成そのものにも、美しい宗教的意味を見いだすことができます。

マリアとともに祈り、その祈りの先にキリストの十字架がある――ロザリオという信心具の本質を、小さな造形の中に表した作品です。

祈祷具として作られた伝統的なロザリオ

本品は装飾目的の「ロザリオ風ネックレス」ではなく、カトリックの祈りに用いる伝統的な5連ロザリオの構造を持っています。

一般的な5連ロザリオは、アヴェ・マリアを唱えるための53珠と、主の祈りを唱えるための6珠、合計59珠から構成されます。

長い年月の中で、実際に誰かの手に取られ、祈りとともに受け継がれてきた可能性のある信心具です。


100年以上の時を経たアンティーク品のため、金属部分には黒ずみや変色、摩耗など、長い年月によるパティナが見られます。これらも古い信心具ならではの風合いとしてお楽しみください。

深いアメジストカラーのガラス、聖母マリアを象徴する優美なモノグラム、そして華麗な透かし細工のクルシフィクス。

祈りの道具としての厳かな意味と、ベル・エポック期フランスの装飾美術としての美しさを併せ持った、存在感のあるアンティーク・ロザリオです。
販売価格 19,500円(税1,773円)
型番 Ros005

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