1930年頃、フランスの宗教メダイ工房 O.B.C. によって制作されたと考えられる、銀の板張りによるカトリックのアンティークメダイです。
[商品詳細]
*製造年代:1930年頃
*製造国:フランス
*工房:O.B.C.
*主題:イエスの聖心/聖母マリア
*素材:銀の板張り(Silver Plated / Métal Argenté系)
*本体直径:約26.1mm
*形状:円形・両面レリーフ
直径約26mmの円形メダイの両面に、「イエスの聖心(Sacré-Cœur de Jésus)」と「聖母マリア」という、カトリック信仰において大切にされてきた二つの図像が刻まれています。
イエスの聖心 ― Sacré-Cœur de Jésus
一方の面には、胸に輝く聖心を示すイエス・キリストが立体的なレリーフで表されています。
胸の中心に描かれた「聖心」は、単なる心臓を意味するものではありません。
カトリックにおいて聖心は、人類に注がれるキリストの限りない愛と慈悲、そして十字架上の自己犠牲を目に見える形で象徴したものです。
キリストが自ら聖心を指し示す姿には、「人々に向けられた神の愛」という強い意味が込められています。
聖母マリア ― Notre-Dame
反対面には、ヴェールをまとい、静かに目を伏せる聖母マリアの美しい横顔が描かれています。
頭部を円形の光輪が囲み、華美な装飾を排した静謐な構図が印象的です。
O.B.C.工房には、これとよく似た横顔の聖母を表した作品が残されており、ルルドの聖母として扱われている例もあります。
ただし、本品には「N.D. DE LOURDES」などルルドを直接示す銘文がないため、当店ではより慎重に「聖母マリア(ルルド系の聖母像)」としてご紹介いたします。
伏し目がちの聖母の姿は、謙遜、祈り、慈愛、そして人々の祈りをキリストへ取り次ぐ聖母の執り成しを思わせます。
二つの聖なる図像を一つに
このメダイの魅力は、表裏を合わせることで、
キリストの聖心 ― 神の愛と慈悲
聖母マリア ― 祈りと執り成し
という二つの信仰的意味が一つになっていることです。
約90年前、この小さなメダイを身につけた人にとって、それは単なる装身具ではなく、祈りと信仰をいつも身近に置くための携帯する小さな聖品であったのでしょう。
「O.B.C.」刻印
聖母側の左下には、
O.B.C.
の刻印が確認できます。
これは祈りの言葉ではなく、フランスの宗教メダイに見られる製造工房・メーカーを示すシグネチャーです。
O.B.C.の刻印を持つ宗教メダイには、聖母マリア、イエスの聖心、大天使ミカエル、カルメル山の聖母など、さまざまなカトリック図像の作品が知られています。
なお、「O.B.C.」を特定のフランス語名称の略号として展開する説明も見られますが、正式名称については確実な一次資料による特定が難しいため、本品では「O.B.C.工房」と表記しています。
制作年代について
本品はO.B.C.工房の活動年代、同工房による20世紀前半の宗教メダイの作例、レリーフの造形、円形の構成、一体型の吊り環、銀張りの仕上げなどから、1930年頃のフランス製と考えられます。
とりわけ聖母の端正な横顔には、1920〜30年代のフランスで隆盛したアール・デコ期らしい簡潔で洗練された造形感覚も感じられます。
古典的な宗教美術の厳かさを残しながら、肖像メダルのようなモダンな美しさを備えた作品です。
銀無垢ではなく、ベースメタルに銀を施した銀張りのアンティークメダイです。
長い年月を経たアンティーク品のため、表面には経年による摩耗や小傷、銀張りの変化などが見られます。これらも約90年という時を経て受け継がれてきた品ならではの風合いとしてお楽しみください。
イエスの愛と慈悲を象徴する「聖心」と、静かな祈りと執り成しを象徴する「聖母」。
フランスの小さなメダイの表裏に、二つの祈りが美しく重ねられた、1930年頃のカトリックアンティークです。