フルール・ド・リス 聖母マリアのロザリオ

ベル・エポック/アール・ヌーヴォー期 ガーネットレッド・ファセットガラス 

製造国: フランス
推定年代: 19世紀末〜20世紀初頭/約1890〜1910年代頃
時代: ベル・エポック期
様式: アール・ヌーヴォー/ネオ・ゴシック・ロココリバイバルの影響
素材: シルバー800、ファセットカット・ガラス
ホールマーク: 猪の頭(Tête de sanglier/フランス銀保証刻印)
ビーズ: ガーネットレッド〜黒赤色ファセットガラス
センターピース: MA/聖母マリアのモノグラム
クロス:約44.4 × 26.5mm
センターピース:約17.5 × 15.3mm


深い葡萄酒のような黒赤色のビーズと、繊細な銀細工のクルシフィクスが美しい、フランス製アンティーク・ロザリオです。

製作年代は19世紀末〜20世紀初頭、1890〜1910年代頃。
フランスが芸術・装飾文化の華やかな発展を迎えたベル・エポック期の作品です。

フランス製・シルバー800

クロスには、フランスの銀製品に用いられた「猪の頭(Tête de sanglier)」のホールマークが確認できます。

これはフランスで小型銀製品に使用された法定保証刻印であり、本品のクロスはシルバー800(銀800/1000以上)です。

銀メッキではなく、フランスで正式に銀製品として検定されたことを示す、このロザリオの素性を物語る大切な刻印です。

ベル・エポックを感じさせる優美な銀細工

ひときわ目を引くのは、約44.4mmの大型クルシフィクスです。

十字架の四方には流麗な植物文様が広がり、アカンサスや百合、フルール・ド・リスを思わせる曲線が透かし細工によって表現されています。

直線的なアール・デコ以前の、植物や花から着想を得た有機的な曲線を特徴とするアール・ヌーヴォーの美意識と、19世紀のネオ・ゴシック、ロココ・リバイバルの影響を感じさせるデザインです。

中央には十字架上のキリストが立体的に配され、その周囲にまで細やかな植物装飾が施されています。

祈りのための聖品でありながら、ひとつのアンティークジュエリーとしても非常に装飾性の高い作品です。

「MA」― 聖母マリアのモノグラム

センターピースには人物像ではなく、「M」と「A」を組み合わせた聖母マリアのモノグラム(Marian Monogram)が透かし細工で表現されています。

「Ave Maria(めでたしマリア)」など、聖母マリアへの祈りを想起させる伝統的な意匠です。

植物の葉が伸びるような優雅な曲線の中へ文字そのものが溶け込んでおり、実用品としてのセンターパーツを超えた美しい銀細工となっています。

ロザリオにおける聖母マリアは、祈る者をキリストへと導く存在。

聖母マリアへの祈りから、十字架上のキリストへ。

センターからクルシフィクスへと続く構成そのものに、カトリックのロザリオ信心が表されています。

光によって表情を変える黒赤のファセットガラス

ビーズには、大粒のガーネットカラーのファセットカット・ガラスが使用されています。

通常は黒を帯びた深いボルドー、葡萄酒のような落ち着いた色合いですが、光を受けると内部から鮮やかなルビーレッドが浮かび上がります。

一粒一粒に施された多面カットが光を細かく反射し、アンティークガラス特有の重厚な輝きを見せます。

深紅はキリスト教美術において、キリストの受難と御血、神の愛、殉教者の信仰を想起させる色でもあります。

そのため、この深い赤は十字架上のキリストを黙想するロザリオと非常に美しく響き合っています。

キリスト教的な象徴

クロスの四端には、花や百合を思わせる植物的な透かし装飾が施されています。

百合は古くからキリスト教美術において純潔・清らかさ、そして聖母マリアと深く結びついてきた植物です。

中央のMAモノグラム、花開くような十字架、そしてその中心に置かれた磔刑のキリスト。

それぞれの意匠が重なり、

「マリアを通してキリストへ」

というロザリオの祈りの世界を、一つの作品の中に表しているようです。

100年以上の時を経た銀の落ち着いた風合いと、光の中で深紅に灯るアンティークガラス。

華やかなベル・エポックの装飾美と、聖母マリアへの祈り、そしてキリストの受難への信仰が一つになった、フランス・アンティークならではの美しいシルバー800ロザリオです。
販売価格 27,999円(税2,545円)
型番 Ros004

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